腎臓専門医&透析専門医のyodoです
今回はプロテインと腎臓への影響についてお話します
先日、ボディービルの大会を控えている方で腎機能が健診で引っかかったので診察を受けたいと来院されました
結果から申し上げると、この方は腎機能は問題なかったです。プロテインやクレアチンといったサプリを続けていいか?といった質問も受けました。
この点に関して、腎臓専門医のyodoが最新論文をいくつか調べてみたので、私なりの見解をお答えします
✔️このブログを読むことでわかること
より安心して安全にプロテインやクレアチンのサプリの摂取ができるようになります
プロテインやクレアチンサプリメントは腎臓に影響は○○!!
※注意 この見解は腎機能が正常の方で日頃からトレーニングをしている方向けです
✔️結論
腎機能が正常であれば、プロテインやクレアチンサプリによって腎臓の機能が低下したという明らかなエビデンスはなさそうです
ただし、過剰な摂取は将来的に腎臓を悪くする要因は指摘されています!
これは、ホエイプロテインを長期摂取すると尿の中にカルシウムが増えたり、尿の酸性化しやすいことがわかっています。
その結果、将来的に腎臓へ結石ができやすくなります。腎結石が腎機能へ影響を及ぼす懸念は言われていました。腎結石はエコー検査をするとわかります
エコーは痛みもなく、食事制限などもなく簡単にできる検査です。年単位でサプリを服用されている方は、一度エコー検査を内科や泌尿器科で実施してもらうのがいいかと思います。
参考とした文献は以下の通りです
Edda Cava et al;Healthcare (Basel). 2024 Jan 18;12(2):246.
Camila Mithie Hattori et al; Urolithiasis 2017 Oct;45(5):421-428.
Vishw Patel et al;Proc (Bayl Univ Med Cent) . 2023 Dec 20;37(1):118–126.
プロテインやクレアチンを飲んでいて腎障害の異常を言われた!正しい対処法伝授します
クレアチンのサプリメントを内服していると、クレアチニンという腎臓の数値が一時的に上がります。
また、筋肉量が多くなると、クレアチニンの産生される量が増えるため採血で数値が高くでます。私の外来に来ていたボディービルダーの方もそうでした。
こういった場合
シスタチンCという代用の腎機能を図る検査で、蛋白尿が出ているかなど調べることがとても大切です。
来院された方は、シスタチンCは正常で蛋白尿もありませんでした。
プロテインやクレアチンのサプリを続けていいかの質問には
今後プロテインやクレアチンは継続していいですよ!
と話しました
この方のように、腎機能の異常を言われましたら
腎臓内科の外来へかかって血液や尿検査を受けましょう
シスタチンCについては以前説明しているのでご参考にしてみてください
ちなみに
採血で出るクレアチニンとサプリメントのクレアチンは異なります
クレアチンのサプリメントは、筋肉を増やす効果や骨を強くするなどさまざまな効果があります。
クレアチンは筋肉を動かすエネルギーとして必要です。しかし、不要になった筋肉内のクレアチンは、最終的にはクレアチニンとなって腎臓へ運ばれ最後は尿となって排泄されます。
クレアチンをサプリで飲んでいると、一時的に血液中のクレアチニンが増加する理由はお分かりいただけましたでしょうか?
参考とした文献 Igor Longobard et al;Nutrients. 2023 Mar 18;15(6):1466.
健康に継続してプロテインを飲み続ける際の注意点4点
- 多くの文献で言われていることとして、基本的にはバランスよく食事を取り、蛋白質も食事からまず取ることが推奨していました。その上でサプリメントは補助として使ってください。
- ホエイプロテインやクレアチンサプリメントを続けている方は、定期的(少なくとも1年に1回)な腎機能の検査(採血・尿検査)や腎臓のエコーを受けていくことをお勧めします
- 腎機能の異常を言われた際は、筋肉量の影響が考えられるのでシスタチンC を調べてもらいましょう
- シスタチンCを調べた上で腎機能の低下があったり、蛋白尿がある場合はまず栄養士さんから食事指導を受けたり、一旦サプリメントを中止するなど主治医と必ず相談をしましょう
まとめ
- 現時点で、プロテインやクレアチンのサプリメントで明らかな腎臓の機能低下をきたすエビデンスは出ていない
- クレアチンサプリではクレアチニンが一時的に上がるため、腎機能の異常を健診等で言われるかもしれない
- 腎機能の異常が指摘されたら、シスタチンCや蛋白尿が出ていないかなど調べる必要がある
- プロテイン関係のサプリメントを継続摂取する場合は、定期に腎臓の機能や腎臓のエコーなど検査を受けることを勧めます
今回書いた内容は私個人の意見です。学会が推奨してるものではありません。
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