暑くなってきましたね。
汗ばむ陽気が続くこの季節、CKD(慢性腎臓病)をお持ちの方には、思わぬ落とし穴があることをご存知でしょうか?
それは「血圧の下がりすぎ」です。
冬の間は高めだった血圧が、急に下がってしまう。
そんな患者さんが、実際に外来にも増えています。
■「冬は高かったのに、今は100を切ってしまった…」
「冬は血圧が高くて、薬を出されたんです」
「でも最近、だるくて測ってみたら上が90しかなくて…」
こうした声は、今の時期によく聞くものです。
実際に、血圧が100mmHgを切るCKD患者さんも少なくありません。
気温が高くなると、体の血管は拡張し、汗で水分が失われ、血圧が自然に下がります。
それ自体は正常な反応ですが、降圧薬を冬と同じように飲み続けていると、血圧が必要以上に下がってしまうことがあるのです。

■ 低血圧が腎臓に与える影響
では、なぜ血圧が下がりすぎると腎臓によくないのでしょうか?
腎臓は、全身の血液をろ過する「フィルター」のような臓器です。
このフィルターを動かすには、ある程度の血流、つまり十分な血圧が必要です。
● 血圧が下がると…
- 腎臓に届く血液量が減る
- ろ過する力(糸球体濾過量:eGFR)が落ちる
- 一時的な腎機能低下(急性腎障害)を引き起こすことも
特に既に腎機能が低下している方にとっては、このような血圧の変化が大きな負担になります。
脱水と低血圧が重なると、ダブルパンチで腎臓にダメージを与える可能性も。

■ 対策①:降圧剤を調整してもらう
冬に処方された降圧剤を、夏もそのまま飲み続けていませんか?
血圧が上の値で100mmHgを下回ることが続く場合は、早めに主治医に相談しましょう。
自己判断で薬を止めたり減らしたりするのはNGですが、医師に相談することで、
- 降圧剤の量を減らす
- 一時的に内服を中止する
などの調整ができることがあります。
腎臓を守るためにも、遠慮なくかかりつけの先生に状況を伝えてくださいね。
■ 対策②:水分をしっかりとる
暑くなると、知らず知らずのうちに脱水状態になりがちです。
血圧が下がっているときには、適度な水分補給が重要になります。
特に、朝起きたときや、入浴後、運動後などは要注意。
詳しい水分の取り方をまとめた記事をご覧ください。
ただし注意が必要な方も:
- 心不全がある方
- 透析が近いと言われている方
- 水分制限を指示されている方
こうした場合は、水分摂取についても必ず主治医に確認をしてください。
CKD患者様の正しい水分の取り方をまとめた記事がありますので、ご覧ください。
■ 家でもできること:血圧を測ろう
この時期は特に、「朝と夜」2回の血圧測定をおすすめします。
メモを取って、診察時に持参すると、薬の調整にも役立ちます。
血圧が低すぎる状態が続いたり、ふらつきや立ちくらみがある場合は、無理をせず早めの受診を。
■ 最後に:夏こそ「腎臓を守る行動」を
血圧が高いことだけが問題ではありません。
低すぎる血圧も、腎臓にとっては見過ごせないリスクです。
この夏、
- こまめに水分補給
- 毎日の血圧チェック
- 体調の変化を放置せず、早めの受診
これらを意識して、暑い季節を安全に過ごしましょう。
あなたの腎臓を守るために、「ちょっとおかしいな?」と思ったら、迷わずかかりつけの先生へ。
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