血液透析にするか?
腹膜透析にするか?
はたまた移植を選ぶか?

腎機能が悪くってきているので、腎代替療法を決めましょう
と、いよいよ医師に言われるとどうしたらいいのか悩むはずです
日本ではそもそも腹膜透析はまだまだ少ないのが現状です
私は、腹膜透析を80−90人治療をする施設に6年間勤務し
現在、医療過疎地域のクリニックで腹膜透析の患者さんを診ています
私が腹膜透析に関わり10年近く診察をしてくうちに
腹膜透析患者さんと血液透析患者さんを比べるとあることが
決定的に違うことに気づきました
それは何か?
この内容は腹膜透析を選ぶか悩まれている方の参考になるはずです。

なんで腹膜透析が血液透析より患者さんの数が少ない?
その疑問にもぶっちゃけ答えさせてもらいます
- 腹膜透析とはどんな透析か?
- 透析専門医が感じる腹膜透析と血液透析の患者さんの違いとは
- 腹膜透析のメリット、デメリット
- 腹膜透析がなかなか普及しない理由
✔️この記事を読むとわかること
腹膜透析を選ぶか悩なんでいる方にとって、
自分が向いていそうか、できそうか判断材料になります
1腹膜透析とはどんな透析か?
私が患者さんに最初説明するときは

ご自分の腹膜を使って自宅でやるオーダーメイド医療です
と伝えます
だいぶざっくりな言い方なので、
もう少し医学的な説明にすすみますね。
1-1| 腹膜透析と血液透析の大きな違い
腹膜透析は、お腹の中にある「腹膜」という薄い膜があります。
この膜を利用して、血液から不要な老廃物や余分な水分を取り除く治療法です。

血液透析は病院の機械を使って血液を直接きれいにするのに対し、
腹膜透析は自分の体の中で浄化作業を行います
1-2| 腹膜は自然のフィルター
お腹の内側の臓器を覆っている膜を「腹膜」と呼びます。
この膜には、とても小さな穴がたくさんある薄い膜が特徴的です
小さな穴がフィルターとなって濾過システムができています
ここから簡単に腹膜透析の原理をごく簡単に説明します
1-3| 腹膜透析の原理は2つ!
「老廃物(毒素)の除去」と「余分な水分の除去(除水)」です。
これらを別々に説明します
1-3-1|老廃物(毒素)の除去 = 絵の具の原理と同じ
腹膜透析では、お腹の中に透析液を入れます。
この透析液には、尿素やクレアチニンなどの老廃物が含まれていません。
濃度差を利用して毒素を取り除きます

これは、絵の具を水に入れると色(老廃物)は濃い部分から薄い部分へ
自然に広がっていきますよね
絵の具が毒素で腹膜の中の透析液が水とすると、
時間が経つごとに毒素が広がっていくのがイメージできるでしょうか?
ある一定時間経つと、濃度差がなくなり毒素を取り除けなくなります
それが、透析液を交換するタイミングになります
1-3-2| 余分な水分の除去(除水) =梅酒の原理と同じ
腹膜透析液には、ブドウ糖などが含まれています。
この糖が水分を引き寄せる力を発揮します。
結果、余分な水分を取り除くことが可能になります

身近な例としては梅酒は氷砂糖につけて、浸透圧を利用して
梅の水分を抜くことで作られています
では、どうして腹膜透析はオーダメイド医療なのかお話しします
1-4| 腹膜透析は在宅ワークと同じ!?

在宅ワークと同じってどういうこと?と思うと思いますよね。
在宅ワークは家でやるお仕事。出勤時間が特にないでしょうし、
休憩時間も比較的自由ではないでしょうか。

腹膜透析も腹膜透析もそのイメージです。
基本的な腹膜透析の流れは
透析液をお腹の中に数時間留めた後、老廃物や余分な水分を含んだ透析液を排出します。
そしてまた新しい透析液を入れます。

このサイクルを1日に数回繰り返すことで、腎臓の働きを代替します
腹膜透析液の交換方法は大きく2つに分かれます
自分で日中行う方法(CAPD)と機械が寝ている間にやる方法(APD)があります
どちらがやりやすいかは各個人の好みが分かれます。
これも患者さんのやりやすい方法を選択してもらうことになります
透析液にも色々な種類が実はあります
患者さんの採血結果や尿量、体重の変化などから適切な液を医師がチョイスします
どのタイミングで使用するかは、患者さん個人の生活スタイルに
臨機応変に合わせられるのが腹膜透析のメリットです
2透析専門医が感じる腹膜透析と血液透析の患者さんの違いとは
ざっくりな言い方になりますが
腹膜透析の方の方が「生き生きしている」ということです
医学的な言い方ではなくて申し訳ないです
これは腹膜透析を選ばれる理由が関わります
- 仕事をバリバリやりたい
- 畑仕事をしたい
- 家族の介護をしたいから家にいたい
- 旅行や趣味の時間を持ちたい

なぜ腹膜透析の方が「生き生き」しているの?
と思われると思います。私なりの意見を述べますね。
一つに、自分で透析をしていて、やらされている感覚とやっている
感覚の違いがあると私は思います。
どういうことか?
血液透析は、病院へ身一つで来れば自動的に透析をやってもらえます。
ただ、「週3回病院へ行かないといけない」という義務感が強いはずです
一方腹膜透析は、自分で透析液のセットをして、管に透析液を繋がなければ透析ができません。
患者さん自身が自分でやる透析なのが特徴です。
自分主導でやることが、血液透析と比べるとデメリットと取れますが、
「自分でやっている」感覚が前向きな意識を生むと考えます
前向き意識がある人が腹膜透析を選んでいるのもあります
一つ、勘違いをしないで欲しいことがあります
血液透析も夜間透析で日中仕事をして、夜透析をする方も多く見えます
血液透析だから仕事ができないことはないです
3 腹膜透析のメリットとデメリット
さて、腹膜透析のメリットとデメリットを具体的に説明したいと思います
3-1| 腹膜透析のメリット
①腹膜透析は血液透析と比較すると、体への負担が少ないのが特徴
血液透析は週3回に対して、腹膜透析は毎日実施できるため、
血圧の変動や心臓への負担は少なくなります
②透析時間はずらすことも可能
腹膜透析の透析液の貯留する時間や開始時間、終了時間は
多少の前後は別に問題ないです
急な用事が入ってしまっても臨機応変にやれます
③夜間の透析(APD)を選択すると日中は普通の生活も可能

webサイト お家で透析から引用
尿がまだ出ていて、APDだけで問題ない場合は、日中自由に過ごせるので、
仕事をしたい方には良い選択肢です。
④旅行もできます
2泊3日くらいは行く日と帰ってきた日に腹膜透析をする前提ですが、
中日は透析を1日おやすみしても問題ないです
(ただし、残腎機能や全身の状態、血液データによります)
長期出張などは機械や透析液の手配が透析メーカー側できれば可能なケースもあります
3-2|腹膜透析のデメリット
①何より自分で行わないといけない
血液透析は身一つ病院へ行けば、あとはお任せで透析をしてもらえます。
腹膜透析は自分でやるのがメリットでありデメリットでもあります。
②腹膜炎のリスクを常に気をつけていないといけない

お腹に管が入るため、管から細菌が入ると、腹膜炎を発症してしまいます。
すると排液バック内が濁ってくるので
すぐに病院へ行って治療を受ける必要があります
③カテーテルの出ているところの操作は慎重に

お腹から出ている管をきっかけに感染を起こすため、
清潔な管理に気を使う必要があります
③体重・尿量・血圧・排液の量など測定項目がたくさんある
毎日の記録が診察の時の大切な情報になります
④一生、腹膜透析は行えない
腹膜透析をすると徐々に腹膜は劣化をしてしまい、
いずれは血液透析に移行となります。
平均で5-8年くらいが腹膜使用可能期間です。
4腹膜透析がなかなか普及しない理由とは!?
- 医療施設側のコスパの問題がある
- 血液透析より患者さん、スタッフ共に教育の時間がどうしてもかかってしまう
- 腹膜炎などトラブルがあると24時間いつでも対応の必要性がある
- PD対応の施設が少なく、管理が難しいと思われやすい
- 血液透析の患者さんが多いため、日本人的感覚で血液透析に流れやすい

現在、このような問題を解決するため、
PDの患者さんも近くのかかりつけ医を持つシステムができてきました
何かトラブルがあると、
入院が可能な施設へ治療を依頼する連携が取られるようになっています
まとめ
- 腹膜透析は自分の腹膜を使い、自宅で行える透析です
- 血液透析と違い、血圧の変動や心臓への負担は少ないです
- 腹膜炎や出口部の感染のリスクがあり注意が常に必要です
- 腹膜は一生使うことはできず、いずれ血液透析の移行が必要
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