「冷たいジュースでひと息」「カロリーゼロの炭酸で気分転換」。
そんな日常の一コマが、実は将来の認知症リスクに関係しているかもしれない──。
最近発表された研究が、私たちに新たな視点を与えてくれました。
アルツハイマー病と「甘い飲み物」の関係
2025年6月、Lebanese UniversityのNagham Jouni氏らが発表した国際的な研究によると、加糖ドリンクや人工甘味料入りドリンクの摂取が、アルツハイマー病のリスクを高める可能性があることがわかりました。
この研究は、これまでに発表された観察研究を網羅的に調べ、7件の質の高い論文をもとにメタ解析を行ったものです。
どんな飲み物がリスクになるの?

今回の研究で「リスクが上がる可能性がある」とされたのは、以下のような飲み物です:
- 加糖ドリンク(清涼飲料水、加糖入りジュースなど)
→ アルツハイマー病のリスクが 約1.5倍 に上昇(RR:1.49) - 人工甘味料入りドリンク(ダイエット炭酸飲料、ゼロカロリー飲料など)
→ リスクが 約1.4倍 に(RR:1.42)
一方で、単なる「ソフトドリンク」という広い分類では、有意なリスク上昇は見られませんでした(RR:1.13、統計的には有意ではない)。
飲み物と脳の関係、なぜCKD患者さんに関係あるの?

CKD(慢性腎臓病)をお持ちの方にとって、「脳の健康」は実はとても大切なテーマです。
腎機能が低下すると、脳の血流や代謝にも影響が出てきます。加えて、高血圧や糖尿病といった認知症のリスク因子を合併している方も少なくありません。
そんな中で、日々の「飲み物の選び方」が将来の認知機能に関わるかもしれない、という今回の研究結果は、CKD患者さんにも大切な示唆を与えてくれます。
「カロリーゼロだから安心」は思い込み?
「人工甘味料入りなら太らないし、安心」と思われがちですが、今回の解析では人工甘味料入りドリンクもアルツハイマー病リスクと関連していました。
人工甘味料が脳に与える影響はまだ研究途中ですが、味覚や食習慣を乱す、血糖やインスリンに影響する、腸内環境を変えるといった可能性も示唆されています。
じゃあ、何を飲めばいい?

一番のおすすめは「水」や「お茶(無糖)」です。
特にCKD患者さんは、リンやカリウム、糖分の過剰摂取を避ける必要があります。飲み物選びも、腎臓と脳の両方を守るうえで、とても大切なのです。
ポイントをまとめると:
- 甘い飲み物はたまの楽しみに
- 普段の飲み物は「無糖・無添加」が基本
- 「ゼロカロリー」でも安心しすぎない
- 脳と腎臓、両方にやさしい飲み方を
最後に:小さな習慣が、未来の自分を守ります
「ただの飲み物」と思っていたものが、将来の認知症リスクにつながっているかもしれない──。
日々の飲み物をほんの少し見直すだけで、脳と腎臓を守ることができるなら、それはとても価値のある一歩です。
これからも、あなたの健康を支える小さなヒントをこのブログでお届けしていきますね。
参考文献
Jouni N, et al. Aging & Mental Health. 2025 Jun 13.
「Sugar-sweetened and artificially sweetened beverages and risk of Alzheimer’s disease: A systematic review and meta-analysis.」
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