【慢性腎臓病】のステージごとで変わる治療法をあなたはご存知?専門医が簡単に解説☝️

CKD

こんにちは。採血で腎機能(尿素窒素やクレアチニン)の値とともに、慢性腎臓病の【ステージ】について説明を受けると思います。私自身、患者様と話をしている、腎臓のステージを伝えても『何?』となり、中々ピンと来ていない印象が多いです。

そんな方に読んでいただきたいブログです。

慢性腎臓病のステージの話をされた時に、こんな疑問を抱かれるのではないでしょうか

  1. 慢性腎臓病のステージって何?
  2. このままでは透析になってしまうの?
  3. ステージによって治療法は何か変わるの?

この質問に対して、まず私からのお答えを示します。

  1. 慢性腎臓病のステージごとに注意することや症状が変わります
  2. 慢性腎臓病の重症度分類を見ると透析のリスクが高いか判明します
  3. 慢性腎臓病のステージによって食事療法・血圧目標値・薬物治療変わります

このブログを書いている私は慢性腎臓病の患者様15年以上みていて、腎臓専門医と透析専門医として診療に当たっています

このブログを読むことで、慢性腎臓病のステージごとの違いを理解でき、透析のリスクがあるかも知ることができます。

ステージを決める上で重要なのが【eGFR】という数値になります。

健診などで採血をすると【eGFR】が現在は大体調べられています。この値はクレアチニンと呼ばれる腎臓の数値と年齢と性別から計算式に当てはめて算出されます。

これが、健康な人の腎臓を100%とすると、あなたの腎臓が何%かをみています。この数値が60未満が3ヶ月以上続くと慢性腎臓病になります。

eGFRごとのステージと違いを以下に示します

eGFR慢性腎臓病ステージ症状
90ーG1正常な状態。高血圧や糖尿病、脂質異常があると慢性腎臓病へ移行しやすいです。
69−89G2腎機能がやや低下、症状はないが、食事や生活習慣の改善で回復が見込めます。
45−59G3a腎機能が半分まで低下。むくみや尿の異常が少し現れます。この状態が3ヶ月続くと慢性腎臓病です。
30-44G3b自覚症状はG3aと変わらないが、心筋梗塞や狭心症のリスクが上がります。
15-44G4腎機能が大幅に低下した状態。だるさや吐き気など自覚症状が出現してきます。腎機能の回復は困難です。
-14G5腎機能がほぼ失われた状態です。末期腎不全と呼ばれます。G4よりさらに強い自覚症状出現します。透析が必要になります。

G3aまでは自覚症状が乏しいのですが、G3b移行は腎機能の低下とともに、心筋梗塞や脳梗塞などの病気が出てくるリスクが上がってくることも要注意です。

2慢性腎臓病の重症度分類を見ると透析のリスクが高いか判明します

慢性腎臓病のステージとは別に、重症度分類という表があります。

下記にお示しします。

日経drug informationより引用
この表は縦に先ほど述べたステージを持ってきています。横には糖尿病とそれ以外の腎臓病のアルブミン尿や蛋白尿の量から重症度を見ています。

見方の手順です

  1. まずご自分の腎臓病のステージG○(G1〜5のどこに入るか)を確認してください
  2. 次に蛋白尿やアルブミン尿の1日推定量がわかっている方は、A○(A1〜A3のどこになるか)を調べてください
  3. ご自身のG○とA○の交わるところの色を確認しましょう

この表からわかることは・・・

赤に近づくほど透析になる可能性が高いことを示しています!!

また、赤のマスに該当する場合は、腎臓専門医の外来を受診をすることが推奨されています(日本腎臓学会CKDガイドラインより)

かかりつけ医と腎臓専門医とで連携をして治療をしていくことが良いと思われます。

※注意;赤のマスになる=透析にすぐなるではないです

透析が必要になるのは目安でeGFR約5.5ml/min/1.73m2 です。

尿検査を受けてない方は、尿蛋白の有無や量の確認をまずしましょう

食事療法と血圧管理についてみていきましょう

3ー①|慢性腎臓病のステージで見る食事療法

ステージごとで1日の摂取量が変わるのは蛋白質とカリウムです

G1G2G3aG3bG4G5
蛋白質標準体重✖️1.3g標準体重✖️1.3g標準体重✖️0.8-1.0g標準体重✖️0.6-0.8g標準体重✖️0.6-0.8g標準体重✖️0.6-0.8g
カリウム2g以下1.5g以下1.5g以下1.5g以下

標準体重=身長(m)✖️身長(m)✖️22=標準体重(kg) で計算してください

全てのステージで変わらないのは以下2つ

  • 1日摂取カロリー;標準体重✖️25-30
  • 塩分;1日3g以上6g未満

糖尿病がある方とない方で血圧の目標が変わってきます。かなり細かい話なので、参考程度で構わない内容です。さらっと読んでください。

【糖尿病がある慢性腎臓病の方】

75歳未満75歳以上
ステージG1〜G5130/80未満150/90未満

【糖尿病がない慢性腎臓病の方】

ステージG1,G2とG 3-G5で血圧も目標値が若干変わります

高齢になると、血圧を下げすぎないことも大切です

蛋白尿75歳未満75歳以上
G1,G2(ー)
(+)
140/90未満
130/80未満
150/90未満
G3,G4,G5(ー)
(+)
140/90未満
130/80未満
150/90未満

慢性腎臓病の薬物治療はこの数年で大きく変わりました。

それはSGLT2阻害剤(フォシーガ®︎、ジャディアンス®︎)と呼ばれる薬剤が腎臓の患者様に処方できるようになったからです。この薬剤は糖尿病の薬剤として最初は使われておりましたが、今は、糖尿病だけでなく、他の慢性腎臓病でも腎臓を守る効果がわかってきました。

糖尿病性腎症の方

尿中にアルブミン30mg/g・Cr(重症度分類でA2)もしくはeGFR60未満(ステージG3a)であれば、上記のSGLT2阻害薬開始のタイミングになります。

糖尿病ではない疾患による慢性腎臓病の方

蛋白尿がありeGFR60未満(ステージG3a)であれば、上記のSGLT2阻害薬開始のタイミングになります。

この薬剤だけでなく、降圧剤・コレステロールを下げる薬剤・尿酸を下げる薬剤など慢性腎臓病になると必要に応じで内服を行うことになります。

  • 現在、慢性腎臓病はステージと尿蛋白の量から重症度を確認できます
  • 尿検査を受けていない方は必ず確認をしましょう
  • 重症度分類【赤】のマスに該当される場合、腎臓専門医に経過をみてもらうことが推奨されています
  • 慢性腎臓病のステージや年齢ごとで血圧の目標値は変わってきます
  • SGLT2阻害剤という新しい薬剤のおかげで、慢性腎障害に置いて腎臓を保護していくことが可能となっています

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