【慢性腎臓病】って何?よくあるギモン3選に専門医がお答えします

CKD

慢性腎障害と言われて驚いた方、慢性腎臓病って何?と思われたと思います。そんな方に読んでいただきたい記事です。記事の内容は以下の疑問にお答えします

  1. 慢性腎臓病ってなに?
  2. なんで慢性腎臓病になったの?
  3. 慢性腎臓病は良くなる?

上記の質問の回答をまずお示します

  1. 慢性腎臓病とは腎臓の機能が6割切った状態が3ヶ月以上続いている状況を指します
  2. 慢性腎臓病の主な原因の病気は①糖尿病性腎症、②腎硬化症、③慢性糸球体腎炎
  3. 慢性腎臓病を回復は難しいが、腎臓機能の低下は今からでも緩やかにできます

これらについてこれから詳しくお話しします、

このブログを読むことで、慢性腎臓病のことがわかるようになります。特に慢性腎臓病とは何かや、あなたがなぜ慢性腎臓病になったかの原因について理解を深められ、今後の病気と向き合うために必要な知識を得られると思います。

このブログを書いているyodoの紹介です。

慢性腎臓病の患者様15年以上みていて、腎臓専門医と透析専門医として診療に当たっています。よろしくお願いします。

1慢性腎臓病ってなに?

噛み砕いて説明をします。何らかの原因で腎機能が徐々に低下をして健常な人の60%未満の状態が3ヶ月以上続いている状態です。

ノバルティスファーマより引用

腎臓には糸球体と呼ばれる、尿を作る工場が左右の腎臓に100万個ずつあります。糸球体は血管が糸状に集まっていて、血液を濾過して不要なものを尿としてこし出しています。

慢性腎臓病とは、尿を作る工場の40%以上が機能をしなくなってしまっている状態を言います。

わかりやすく会社で例えると、100人いた社員が徐々にいなくなって、40人以上やめてしまった。その状況が3ヶ月続いているイメージです。会社なら新しく社員を雇えばいいのですが、腎臓は残った部隊で仕事をこなすので、負担もかかるようになります。

慢性腎障害の定義です(腎臓学会で定義されているものです)

下記の①,②の状態がいずれかまたは両方が3ヶ月以上続いている

①腎障害;タンパク尿などの尿異常、画像診断や血液異常、病理所見で腎障害が明らかである状態

②腎機能低下;腎臓の働きが健康な人の60%未満である

健診などでeGFRという値が調べられていると思います。この値はクレアチニンと呼ばれる腎臓の数値と年齢と性別から計算式に当てはめて算出されます。

これが、健康な人の腎臓を100%とすると、あなたの腎臓が何%かをみています。この数値が60未満が3ヶ月以上続くと慢性腎障害になります。

2慢性腎障害の原因 代表疾患【3選】

慢性腎臓病になる原因の病気は様々あります。ここでは日本で透析になってしまう原因の代表的な病気3つを説明します。

2ー①|糖尿病性腎症(糖尿病関連腎臓病)

糖尿病性腎症は糖尿病が原因で起こる腎障害です。透析導入となる原因の病気の第1位です。(近年、糖尿病関連腎臓病と呼ばれるようになりました)

【経過】

糖尿病だけでは何も症状がありませんが、アルブミン尿と呼ばれる蛋白尿が出現してから、徐々に腎臓の機能が低下をしていきます。

糖尿病性腎症が出てくる前に、目の病気(網膜症)が発症していることは多いので、必ず眼科へ定期的な受診をしましょう

【腎臓が悪くなる原因】

糖尿病で腎機能が低下する原因は、食後に血糖の変動が起こることで、腎臓の小さな血管が詰まったりします。糸球体と呼ばれる、尿を作る工場が左右の腎臓には100万個づつあるとお話をしましたが、この糸球体に少しづつダメージが出てきて、蛋白尿が漏れるようになります。

また、高血圧やコレステロールや中性脂肪が高いとより血管へのダメージが起きて、腎臓の機能が徐々に低下していくことになります。

【治療法】

  • 食事療法
  • 運動療法(行っていいかは主治医に相談をしましょう)
  • 血糖のコントロール(内服やインスリン)
  • 蛋白尿が出ている場合、SGLT2阻害剤と呼ばれる、尿から糖を出す薬が、腎臓を保護する効果があることがわかっています。
  • 血圧、コレステロール、中性脂肪のコントロールも大切です

現在、糖尿病性腎症に対しては治療薬剤が増えています。以前より腎臓を長持ちさせられる様になっております。

2−②|腎硬化症

高血圧が原因で腎臓の血管に動脈硬化を起こして、腎機能が徐々に低下をしていく疾患です。現在、透析になる患者様の第2位の原因疾患です。

【腎臓が悪くなる原因】一定期間、高血圧が続くことで、腎臓の動脈硬化が進み、糸球体(尿を作る工場)の血流が悪くなるためです。

【症状】自覚症状は乏しいことが多いですが、高血圧に伴った症状があります

  • 頭痛
  • 動悸
  • 目眩
  • 多尿(尿を濃くすることができず尿量が増えます)

【治療】血圧コントロールを行うことが何より重要です

2−③|慢性糸球体腎炎(主にIgA腎症について)

慢性糸球体腎炎の中で最も多いのが【IgA腎症】と呼ばれる疾患です。この病気は健診の尿異常で見つかるケースが一番多いです。

【腎臓を悪くする原因】扁桃腺の感染などをきっかけにIgAと呼ばれる抗体(免疫グロブリン)が産生され、糸球体にへばり付いて、糸球体に炎症を起こし血尿が出てくるようになります。

【症状】発熱など感冒症状の時に、腎臓の炎症が悪化をしてコーラの色の様な尿が出て気付かれるケースが多いです。

IgA腎症根治治療ネットワークより

【治療】降圧剤投与や扁桃腺摘出とステロイドの治療を行う方法があります。治療法は各施設で異なるので、主治医の説明をしっかり聞いてください。

3慢性腎臓病は良くなる?

残念ながら、慢性腎臓病は現在の医療では残念ながら良くはならないのです

eGFRの数値が多少の上下は起こるのですが、慢性腎臓病のステージが一つ上がるといったことは起こらないです。失われてしまった腎機能は戻らないです

再生医療の研究が進んでいて、近い将来腎臓もその恩恵に預かれる日が来るかもしれないと期待しましょう

ただ、腎臓の機能の低下を緩やかにする良い薬がここ数年で増えています。慢性腎臓病と言われている方は、できるだけ早く治療を受けてください

Earlier than better!!

口酸っぱくこの言葉を伝えたいです

まとめ

  • 慢性腎臓病とは腎臓の機能が6割切った状態が3ヶ月以上続いている状況を指します
  • 慢性腎臓病の主な代表的疾患は①糖尿病性腎症、②腎硬化症、③慢性糸球体腎炎になります
  • 慢性腎臓病を回復は難しいです、腎臓機能の低下は早く治療を開始することで緩やかにできます

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