尿蛋白は大事なサイン!必要な検査や疑われる病気を専門医がまとめて解説

尿検査

こんにちは

腎臓専門医&透析専門医のYodoです

検診結果を見たら尿蛋白陽性で、「どうしよう」と不安になる方

「症状がないし放っておいてもいい?」と思う方もいるかもしれないですね

尿蛋白は腎臓に病気が隠れているかもしれないという

非常に大切なサインです

このサインを見逃すと後々腎臓を悪くすることがあり得ます

ここでは、尿蛋白陽性の方向けに今後必要となるであろう、

検査や考えられる病気などできるだけわかりやすくお伝えします。

尿蛋白は放置してもいい?

答えはNOです

健康な腎臓からは尿蛋白は

基本的には出てきません

尿を作る糸球体と呼ばれる場所に

何らかの病気があることが

予想される可能性があります

ナース専科さまより引用

「糸球体」とは尿を作る工場と考えてください

左右の腎臓にそれぞれ小さな工場は

100万個づつ集まっています

糸球体は字の如く

血管が糸のより集まってできています

尿を作る工場で何らかのトラブルが生じると

蛋白尿が出てくるのです

分かりやすいイメージ図載せます

図;日本臨床内科医会さまより引用

工場トラブルを放置すると

他の工場に負担がかかったり

トラブルが広がって工場が閉鎖される

=腎臓の機能が悪くなります

つまり、

尿蛋白がある場合

放置することは非常に危険です

尿蛋白出るのは腎臓の病気だけ?

そんなことないです

尿蛋白は腎臓のトラブルと書きましたが、

そのほかの疾患でも起こり得ます

  • 膀胱や尿管などの泌尿器科系の腫瘍
  • 血液の疾患(多発性骨髄腫など)
  • 現在治療中の病気を確認
  • 尿検査を再度行う
  • 早朝尿を調べる
  • 1日の尿中蛋白質の量を調べる
  • 採血
  • エコー検査
  • 腎生検

①現在治療中の病気の確認

高血圧や糖尿病、高脂血症がある場合それが原因と言うことは十分あります

最近は腎臓を保護してタンパク尿を減らす良い薬が

次々と出ています   

これらの処方を受けることはあると思います

②再度尿検査をする

病気でなくても蛋白尿が一時的に出ることがあります

  • 激しい運動をしたあとの尿検査
  • 風邪を引いている、もしくはその直後
  • 長時間の立ち作業

これらが影響している場合は改めて尿検査で陰性であれば問題ありません

③早朝尿を調べる

改めて陰性にならなかった場合早朝尿と言って、

朝イチの尿を取って蛋白尿あるか検査していただきます

早朝尿で蛋白尿が陰性の場合生理的蛋白尿とよばれ

病気ではありません!!

④1日の尿中蛋白質の量を調べる

コップ一杯の尿から1日の尿中の蛋白質量を最低することができます

24時間蓄尿しなくていいのがメリットです

一日尿蛋白推定量=尿中の蛋白質量/尿中クレアチニン値

より求めてます

正常尿蛋白 0.15g g/gCr未満

これを超えていれば何かしらの疾患が隠れている🥷と疑います

特に3.5g/g・Crを超えている場合は強いむくみや肺に水がたまるなど

早急な精密検査や治療が必要な状態が想定されます

⑤採血

先ほどの検査で0.15g/cr以上の

蛋白があれば、採血も検討します

調べる項目は以下ご参考に

  • 糖尿病
  • 高脂血症
  • 甲状腺の病気
  • B型肝炎、C型肝炎の確認
  • 膠原病のスクリーニング検査
  • 免疫グロブリンのチェック

多岐に渡った疾患と蛋白尿は

関連をしてきます

5、エコー検査

⑥腎生検

高度な蛋白尿が出ている場合や採血や尿検査では

診断が困難な場合など腎生検を検討します

エコー下で腎臓に針を刺して、組織を採取します

メリット→確定診断が確実にでき、その後の治療の方向性が決められる

デメリット→腎臓に針を刺すため稀ですが出血のリスクは伴います

(治療施設の説明をよく聞いてください)

腎機能が低下をしていて、

既に腎臓が小さくなってると生検は困難です

それを確認する上でエコー検査も必須になります

全ては挙げきれないため多い例を挙げます

  • 腎硬化症 
  • 糖尿病性腎症
  • 慢性糸球体性腎炎
  • ネフローゼ症候群

それぞれ簡単に説明します

①腎硬化症

新規の透析になる患者さんの

原因疾患第二位の病気です

原因は高血圧等による動脈硬化です

自覚症状に乏しく

検尿検査や採血で気づかれる事が多いです

治療:減塩、降圧剤や腎臓保護する薬剤の服用

②糖尿病生検腎症

字の如く糖尿病によって腎臓へ

ダメージをきたした疾患

透析になる方の1番多い病気です

が!

良い薬が沢山出てきています

真面目に早期から治療をすれば

透析になることはないです

治療:食事療法、血糖を下げる薬剤や

腎臓を保護する薬剤の内服等

③慢性糸球体腎炎

先ほど伝えたように

糸球体は尿を作る工場で

各腎臓に100万個づつあります

この糸球体に炎症が少しづつ

続いてダメージが起こります

それが慢性糸球体腎炎です

代表的なものは

「IgA腎症」という疾患で

健診で指摘されやすい病気です

風邪をひいたとにコーラみたいな尿が

出たことある方は可能性大です

放置をすると30-40%は透析に

なってしまいます

この疾患は腎生検で確定診断がつきます

④ネフローゼ症候群

尿に蛋白が大量に出てしまう病気です

また血液中の蛋白が減り(低蛋白血症)、

むくみ(浮腫)が起こります

治療法 よく行われる治療を挙げています

  • 減塩
  • 降圧剤の内服
  • むくみが強ければ利尿剤の内服
  • コレステロールを下げる薬の内服
  • ステロイドや免疫抑制剤も使用

ステロイドがとてもよく効くタイプから

効きにくいタイプもあります

  • 減塩(1日塩分6グラム以下)
  • 糸球体の負担を減らすため降圧剤内服します
  • むくみの状況で利尿剤を内服
  • 糖尿病性腎症の場合→血糖値、血圧の管理、食事管理を行いましょう
  • 腎硬化症の場合→血圧の管理や減塩を心がけましょう
  • 大量のタンパク尿などの場合→ステロイドや免疫抑制剤が必要になることもあります
  • 尿蛋白がある場合放置するのは危険
  • 尿蛋白の中には生理的なものがあり、問題ないものがある
  • 尿蛋白は様々な疾患が原因となり得るので、検査をまずら行う事が大切
  • むくみを認めるような高度な蛋白尿がある場合は、早急に検査や治療が必要
  • 糖尿病性腎症や腎硬化症は良い薬が出ており、早く治療を開始する事が大切

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