腎臓内科専門医、透析専門医をしているyodoと申します。皆様健診は受けられていますか?腎機能に異常を言われて不安になる方見えると思います。ここでは、クレアチニンという大切な数値について詳しく分かりやすくお話しします。
クレアチニンとは何ぞや?
クレアチニンとは‥
筋肉に含まれているタンパク質の老廃物です
- 最初は肝臓クレアチンが作られる
- 一部は代謝されてクレアチニンとなります
- 血液を介して腎臓へ運ばれます
- 腎臓で濾過をされて尿へ出されます
腎臓の機能が低下するとは
尿へ老廃物を上手く捨てられなくなり
血液中のクレアチニン濃度は上がっていきます
クレアチニンの正常値✏️
- 男性. 0.61〜1.05 mg/dl以下
- 女性. 0.47〜0.79 mg/dl以下
筋肉量に個人差はありますが
男性の方が女性より高く
小児や高齢者で低くなります
クレアチニン異常の要因は?
クレアチニンが高い、低い原因はなんでしょうか?
分かりやすいものをあげてみます。
クレアチニン高い↑ | 腎機能が低下している |
スポーツ選手やボディービルダー |
クレアチニンが低い↓ | 高齢者や筋肉量がとても低い方 |
神経や筋肉の疾患がある方 |
何はともあれクレアチニンが高ければ
まず腎機能低下を疑いますので
必ず医療機関へ受診をして検査をしましょう
ただし、
寝たきりの方や筋肉がとても少ない方は
クレアチニンが正常に出ていても
実は腎機能は悪い可能性もあります
クレアチニンを下げることは可能?
よく患者様から聞かれる質問です
答えは「クレアチニンが上がった原因によりけり」です
急に悪くなったクレアチニンの値は
戻りやすい場合があります
わかりやすい例を挙げると
- 脱水で腎機能が悪くしまった
- 前立腺肥大や尿管結石が原因でクレアチニンが上がった
これらは原因の治療をすると
比較的早くクレアチニンが戻りやすいです
しかし、ゆっくりクレアチニンが
上がってきたもの
いわゆる慢性腎障害と呼ばれるものです
例えば
- 糖尿病からくる腎機能障害
- 高血圧や脂質異常症からくる腎機能障害
- 慢性的に腎臓の炎症が続いている状態
これらは正しい治療を受けていけば
その後のクレアチニンの上昇を予防できます
ですから
クレアチニン高いと言われたら
👉まず医療機関へ行きましょう
クレアチニンが高いと何科にかかればいいの?
まずかかりつけがある方はかかりつけ医に相談しましょう
かかりつけ医がない方は一般内科で問題ありません
すでにCre2を超えてしまっていたら
早めに腎臓内科のある病院へかかることを
おすすめいたします
原因によっては泌尿器科での治療が必要
という場合もありますが、
まず内科に相談をされたらいいと考えます
高齢者と腎機能についてみていきたいと思います
高齢者はクレアチニン高い?
確かに高齢者の方は
腎機能が低下をしやすくなります
皆様を悩ませるかと思います
理由は長年酷使した腎臓は徐々に
低下をしていきます
高齢者が腎機能が低下しやすい理由(私見です)
- 以前からある高血圧症がある
- 以前からある脂質異常症がある
- 脱水になりやすい(特に夏場)
- 糖尿病を長らく患っている
- 腰痛などで痛み止めを常用している
などが考えられると思われます
eGFRとは何か
ノバルティスファーマサイトより
クレアチニンと一緒によく出てくる数値に
eGFRと呼ばれるものがあります
以前はクレアチニンで腎臓の状況を判断していました
現在eGFRが出てきて、
腎臓の状況を把握しやすくなりました
GFR(ジーエフアール)は
一分間あたりの腎臓が血液をどれだけ
きれいにできるかを数値化したもの
24時間の蓄尿を必要とする大変な検査です
そこで出てきたのが
eGFR(イージーエフアール)
簡易的に腎臓で一分間あたり
血液をどれだけ濾過(きれいにする)できるかを調べる数値です
正常値 90 mL/分/1.73 m2以上
eGFRは
元気な腎臓を100点満点で見た時
ご自身の腎臓が何点かがわかります
eGFR50では腎機能が50点
つまり正常の方の半分の状態となります
eGFR20では腎機能が20点
つまり正常の方の1/5となります
eGFRは以下から求めます
- クレアチニン値
- 性別
- 年齢
eGFRの計算式です。とても複雑です
- 男性:eGFR(ml/分/1.73㎡)=194×Cr(mg/dl) -1.094×年齢(歳) -0.287
- 女性:eGFR(ml/分/1.73㎡)=194×Cr(mg/dl) -1.094×年齢(歳) -0.287×0.739.
計算式に年齢が加味されるため、年齢が上がるごとにeGFRは低くなります
高齢になるにつてeGFRが90以上あることは稀です
重要なことは以下の点があると
- 蛋白尿がないか
- eGFRが60を切っていないか
どちらかがある場合は早めに病院へいきましょう
腎機能をステージで見てみましょう
腎機能を見ていいく上で
ステージがとても重要になります
ステージは1-5まであり
どのステージに該当するかは
eGFRの数値で決まります
ノバルティスファーマさまサイトより引用
実は年齢が上がるごとに
クレアチニンは同じでも
eGFRという数値が下がっていきます
クレアチニンだけで
腎機能の判断はしないようにしましょう
女性の例を出します
例 40歳 女性 の場合
クレアチニン | eGFR | ステージ | 腎臓機能 |
0.8 | 63.5 | G2 | 正常または軽度低下 |
1.5 | 31.9 | G3b | 中等度〜高度低下 |
2.0 | 23.3 | G4 | 高度低下 |
例 70歳 女性 の場合
クレアチニン | eGFR | ステージ | 腎臓機能 |
0.8 | 54.1 | G3a | 軽度〜中等度低下 |
1.5 | 27.2 | G4 | 高度低下 |
2.0 | 19.8 | G4 | 高度低下 |
同じクレアチニン0.8でも
40歳は腎機能は正常から軽度低下
に対して
70歳は軽度から中等度低下になります
これはeGFRを計算する上で
年齢を加味しているからです
筋肉とクレアチニン
クレアチニンは筋肉から作られます
なので、筋肉量にとても影響します
よくあるのは
ボディービルダーさんなど
ムキムキの💪方はクレアチニンが高くなりやすいです
明らかにタンクトップ着てムキムキボディで
「腎機能異常なんです・・・」
と、不安げに病院受診来られるのはあるあるです
そんな時、別の腎機能検査で調べます
シスタチンCとは何か
ムキムキさんの腎機能を調べるとき
シスタチンCというものを使います
シスタチンCとは
筋肉量に影響しない検査で腎機能が調べられる優れものです
ただし
腎機能低下がかなり進行している状態では
正確な数字は出ません
また保険の問題で3ヶ月に1度しか測定できない
難点あります
検診などの採血等で
クレアチニンが高かった時は
腎機能悪い可能性あります
放置せず、必ず医療機関受診をしましょう
まとめ
- クレアチニンが高いと言われたら必ず医療機関を受診しましょう
- 原因によっては改善をすることもありますが、原因を調べて治療をしていくことが大切です
- クレアチニンだけでなく,eGFRがとても大切な腎機能の段階を調べる数値になります
- 筋肉質の方は腎機能が悪く出やすいです。医療機関へ行って、シスタチンCを調べてもらうことをお勧めします。
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